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2010年4月23日金曜日

誰が染色体を引っ張るのか?


分裂後期anaphaseの開始がAPCによって行なわれることは既にみてきたとおりです。APCの活性化はセキュリンの分解を引き起こし、セキュリンからの阻害を受けなくなったセパレースによってコヒーシンが切断されます。これで姉妹染色分体のつながりが解除されます。

と同時に、分離された姉妹染色分体は、動原体を介して結合する微小管によってスピンドル極(中心体またはSPB)に引っ張られます。

確かに染色体を引っ張るのは微小管ですが、そのためには、微小管が特別な制御を受ける必要があります。どうしてでしょうか?

分裂中期に至るまで、スピンドル微小管は動原体を捕まえるためにダイナミックな挙動をしていたはずでした。すなわち、微小管は重合と脱重合を繰り返し、動原体を捕らえるために試行錯誤していたわけです。しかし、このような伸びたり縮んだりといった性質をもったままでは、anapahse Aにおいて動原体を一定方向つまりスピンドル極(SPBや中心体)の方向に引っ張り続けることが難しいということになります。

したがって、分裂後期anaphase Aにおけるスピンドル微小管の挙動は、分裂中期に至るまでのそれとは明らかに異なっているわけです。微小管のダイナミクスは微小管結合タンパク質によって制御されると考えるのが自然ですが、それでは分裂後期anaphase Aで染色体をスピンドル極にもっていくような微小管のダイナミクスはどのような因子によっておこなわれているのでしょうか?

それを担うのは、以前にも少し触れたことがある、キネシンと呼ばれるタンパク質ファミリーの、ある特定の因子だといわれています。次回はそれについて書きます。

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