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2010年4月13日火曜日

二つのチェック項目


今日はいきなりですが、スピンドルチェックボイントは何を認識しているのでしょうか?

例えば、微小管重合阻害剤で細胞を処理すると、微小管が重合されないので、当然、動原体は微小管に捉えられません。ここではスピンドルチェックボイントが、微小管と動原体が接着していないことを認識します。スピンドルチェックボイントの代表的な構成因子としてMad2タンパク質が挙げられます。Mad2は微小管の接着していない動原体を認識して局在します。既にみたように、Mad2はBubR1とともにCDC20に結合して、CDC20がAPCを活性化するのを阻害します。従って、細胞は染色体分配を行うことができません。

これがスピンドルチェックボイントが認識する第一の場面です。

しかし、仮に動原体が微小管に結合していたとしても、それで完璧に準備完了とは言えません。

図のように、「間違った」接着がありうるからです。Amphitelic結合が、望ましい正しい結合様式で、これならチェックポイントを解除して染色体分配に突入してよいですが、他の場合には不適切だといえます。

このように、接着attachmentが起きていてもそれが不適切だと判断された場合には、スピンドルチェックボイントが働きます。ここではチェックボイントは、動原体に左右から張力tensionがかかっているかを認識しています。図のSyntelic結合の場合には、姉妹染色分体の2個の動原体はいずれも微小管によって結合されているものの、左右に引っ張られる張力が生じません。したがって、これが不適切な結合であるとして、スピンドルチェックポイントによって認識されます。

張力の認識はBubR1によって行われるであろうことが癌研の広田亨先生をはじめとするいくつかのグループによって明らかにされました。

張力がかかっていることを認識したうえで、細胞はいよいよ準備完了となり、スピンドルチェックボイントを解除して、染色体分配を開始します。

ところで、このようにスピンドルチェックポイントについて概略を示しましたが、いくつか疑問点を思いつくと思います。それを次回みてみましょう。

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