[Japanese/English]

2010年10月19日火曜日

微小管学会(2010年6月)とガンマチューブリン複合体の構造

じつに4ヶ月遅れの報告ですいません。
6月にドイツのEMBLで開かれた微小管学会(microtubule meeting)についての続きです。学会の内容は微小管の構造から機能に至るまで、私が想像していたよりも幅広い範囲にわたる学会でした。わたしは微小管そのものの構造を第一の研究ポイントにおいているわけではないので、構造学的な知識もなく、また学会での発表を聞いてもすごく良く理解できるわけではありません。たぶん日本語で発表されても私の理解度は変わらなかったでしょう。それだけ、私には微小管の構造についての基礎知識がないということです。

だからこそ、構造分野は自分で勉強するのは大変なので、こういう学会に参加して、100%の理解は無理だとしてもせめて基礎中の基礎の部分だけでも知ることができたら楽しめると思います。場合によっては、イントロ(研究の背景)だけでも分かればOKということにしてます。という情けない状況なので、どうか、微小管の構造について研究している方は私に教えてくださると助かります。


その中でも、私が特に感動した発表がありました。
UCSF(University of California, San Francisco: カリフォルニア大学サンフランシスコ校)のDavid Agard博士による、ガンマチューブリン複合体の構造についてです。


ここで気がついたのですが、当ブログでは、ガンマチューブリン複合体について一度も書いたことがありませんでしたね。それでは次回から、ガンマチューブリン複合体について書くことにしましょう。

東京大学、危機に立つ財政 明日はどうなる(朝日新聞)

朝日新聞、山上浩二郎氏による記事。

http://www.asahi.com/edu/university/toretate/TKY201010190308.html

今月12日に東大・安田講堂で開かれた浜田純一総長と前田正史・副学長理事による、東大の今後の施政方針と、予想される今後の財政危機の現状報告についての説明会についての記事です。

私も参加しました。

率直な感想としては、このような総長や理事が直々に「情報を共有して議論しよう」という会を開いたことはとても良いことだと思います。このような率直に議論しあえる場がないと、問題が顕在化しなかったり、一部の人達による「裏情報」という名の噂に尾ひれがついて、教職員は振り回されることでしょう。

財政について、東大に限らず、全国の大学教育と研究に大きな問題が生じている現状をきいて、やはり政治不信に陥る人も多くいたのではないかと思います。国民の意見を集める政策コンテストは今日が締切でしたが、そこで集まる意見を集計したときに、それが良いものになるのかどうか分かりません。

ぜひ、浜田総長には強いリーダーシップで頑張ってほしいと思います。

2010年10月8日金曜日

英国の移民政策

ノーベル賞学者8人、英の移民制限の強化に抗議

http://www.asahi.com/international/update/1008/TKY201010080126.html

イギリス・マンチェスター大のアンドレ・ガイム博士らノーベル賞受賞者8名は、英国の移民制限の政策に強く抗議する声明を発表したとのこと。


キャメロン政権では、EU圏外(non-EU)の外国人就労ビザの発給数に上限を設ける政策を掲げています。これが一般的な移民のみではなく、研究者にも適用されるというのが驚きです。8名のノーベル賞受賞者たちは、この政策のせいで英国が世界のサイエンスから取り残されるのではないか、と懸念している模様。

海外で研究する生命科学者からのメッセージ

久しぶりの更新になってしまいました。
6月の微小管学会のレポートから再開したいと思いますが、その前にひとつ宣伝を。

海外で研究する生命科学者の等身大のメッセージが聞ける、ビデオインタビューのサイト(Gallasus Video Library)があります。
http://gallasus.typepad.com/videolibrary/

最近言われていることですが、日本人研究者が海外に行きたがらない「内向き志向」があるとのことです。これは研究者に限らず、ビジネスの世界でも、若い社員が海外赴任を嫌う傾向にあるというのを聞きました。

私の意見としては、本人たちがそれでよいならよいと思います。敢えて海外に出る必要はないでしょう。そもそも、私が学生の時だって周囲はそんなに海外志向は強くなかったように思います。私自身も学生の頃は海外でポスドクするとは思ってませんでした。また逆に、海外に行けばnature, Science, Cellなどの有名誌に論文が出せると考えている人がいるとしたら、それは幻想です。

ではもし将来どうしようか迷っている人がいるとしたら、私は「自分の経験から」海外でポスドクすることを勧めます。その理由はいろいろありますが、私宛にメールをくれればその人にはお伝えしようかと思います。あまりここで書いてしまうと、日本に留まることを否定していると勘違いされてしまうかもしれないのでこれ以上は書かないことにします。

さて、上記のビデオインタビューのwebsiteですが、実は私の知っている人が出演していて、とても楽しく拝見しました。次回そのことについてもう少し触れます。