分裂後期A (anaphase A)において、染色体がスピンドル極(中心体またはSPB)の方向に引っ張られていくとき、微小管はどのように制御されればいいのでしょうか。
下図のように、まず巨視的にみてみると、中心体(SPB)と染色体の動原体部位との間を結ぶ微小管が短くなれば、動原体を中心体の方向に連れて行けることが分かります。
微小管を短くするということは、微小管を脱重合するということに他なりません。それでは、そのような脱重合活性をもつ微小管結合タンパク質は何なのでしょうか?
以前Cut7/kinesin-5のところで説明しましたが、キネシンは一般的には、微小管上でものを運ぶモータータンパク質として認識されています。すなわち、エネルギー分子であるATPを分解する活性(ATPase活性)を使って、キネシンが微小管上を歩くというものです。キネシン分子はアミノ酸配列上きわめて良く似ている(生物種間で保存された)キネシンドメインと呼ばれる構造をもちます。ここにATPase活性があるわけです。
しかし、ある特定の種のキネシンは、微小管上を歩くモーターとして働くのではなくて、ATPase活性を微小管を脱重合するために使っています。主にキネシン13(kinesin-13)グループに属するキネシンは脱重合活性をもつことが知られています。次回はこのキネシンがどのように関わっているのかをみていきます。
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