もしあなたが微小管を脱重合させることができるキネシン分子であったとしましょう。あなたは、染色体を中心体まで運搬しなければならないとき、具体的にどこに存在して微小管の脱重合をしていきますか?
前回の図をみながら考えてみましょう。
答えは主に2つに分けられるでしょう。
一つは、動原体との接着部位である微小管のプラス(+)端に存在して、動原体をくっつけたまま、パックマンのように(注)、微小管を食べて短くしていく方法です。
(注)パックマンという比喩が90年代以降の人にどれだ通用するのか分かりませんが、オンラインゲームとして、またはiPhone、DS、Wii、PSPなどで遊ぶこともできるので認知度は高いのかもしれません。学術論文でも頻繁にPac-man modelという言葉で使われます。
もう一つの答えは、中心体に近いマイナス(-)端において微小管を脱重合する方法です。イメージとしては、「釣り」を想像しましょう。あなたが中心体にいる釣り師で、動原体を釣るために釣り糸である微小管をひっかけたところです。リールをまわして釣り糸をたぐり寄せれば、釣られた動原体は中心体にやってくるでしょう。このような微小管マイナス端(中心体付近)における脱重合による染色体の動きをpoleward fluxと呼びます。極方向への流動ということです。同じ脱重合でも、中心体(マイナス端側)のキネシンは自分が動いていくわけではないので、Pac-manとは呼びません。
このように、anaphase Aにおける微小管の脱重合は、2カ所でおこなわれ、プラス端でのPac-man motilityと、マイナス端でのpoleward flusの両方の力が働いた結果、染色体は極方向に運搬されるのです。
大学の授業や,The cellを読んでも解決しなかった疑問が解けました.
返信削除ありがとうございます><
コメントありがとうございます(リアクション遅くてすいません)。anaphase Aはとても難しいですよね。まだ明らかにされてないことが多いので、自分で「こういうことがあってもいいんじゃね?」みたいにアイデア出してみると良いでしょう。それを実験で試すことができたら面白いですよね。
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