3月は何かと忙しくなっていて、更新が遅れました。4月も新学期でいろいろありますが、文字だけでもいいから更新していきたいと思います。文章は大部分をiPod touchで書いているので、なんか変な日本語になってる部分も多いかもしれませんが、どうかご容赦を。
さて、今回は、染色体が微小管によって捕らえられるところの説明です。
前回、中心体が染色体の両側に配置される場面まで書きましたが、そこまでくれば、染色体分配するための準備は半分できたようなものですが、これからのステップもきわめて大切です。
微小管が染色体を捕らえるためには、微小管側の準備と染色体側の準備が必要になります。染色体側の準備は、主に動原体の準備です。動原体とは染色体の中央部分であるセントロメア領域で、微小管が結合する部分にあたります。動原体が正しく形成され、左右を向いていないと、左右から伸びてきたスピンドル微小管によって捕らえられません。このことは特に減数分裂で重要な意味を持っています。それはまた日を改めて、減数分裂の説明をするときに書きます。
そして、微小管側の準備です。微小管が左右両側から形成されることはもちろん重要ですが、さらに微小管のプラス端のダイナミクスが大事です。
微小管の極性について説明したときに、プラス端のダイナミクスこそが染色体を捕らえるのに必要だという話をしました。下図は微小管が染色体を捕らえる過程を模式化したものです。簡単のため、片方の中心体(SPB)のみを描いてあります。
微小管が重合することで微小管は染色体の動原体まで到達します。しかし、微小管は、最初から動原体がどこにあるのか知っているわけではないので、動原体めがけて一直線に伸びて行って一発必中で動原体を射止めるわけではありません。当然、動原体を通り過ぎ、伸び過ぎてしまう事もあります。しかし、それで「残念、失敗でした」で終わるわけにはいきません。微小管は脱重合して、もう一度動原体を狙うことになります。うまく射止めるまでこの繰り返しです。しかも、姉妹染色分体の両方の動原体が、左右それぞれから伸びてきた微小管に結合する必要があります。
このように、search and captureによって染色体が分配される下地ができあがります。すべての染色体で両極からの結合ができあがれば(bipolar attachmentが確立されれば、という言い方をします)、全染色体が一斉に左右に分配されます。いわゆる「分裂後期」の開始です。
と、ここまで書いてきて不思議に思う方もいるかもしれません。「できあがり」というのは、誰がその判断を下すのでしょうか。何本もある染色体のなかで、仮に一本でも、両極からの結合が完了していない染色体がある場合、その状態で一斉に染色体分配が起きれば、その染色体は左右に引っ張られずに、その場に置き去りにされるか、姉妹染色分体の両方が一方の極に連れていかれてしまうでしょう。このような染色体分配異常を避けるために、すべての染色体がbipolar attachmentを完了していることを完全に確認してから、染色体分配を開始さる「監視役」の分子機構があるはずです。
そのような監視機構は実在し、スピンドル形成チェックボイントと呼ばれます。次回はそこからです。
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