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2010年2月15日月曜日

スピンドル微小管(紡錘体微小管)における微小管の極性


前回の最後に、動的不安定性によってダイナミックに伸び縮みしている微小管が本当に細胞の中で機能できるのかという問題を提起しました。それに答えるためにも、今日はまず両末端の性質についてもう一歩調べてみましょう。

プラス端とマイナス端、これら両末端の特性がどのように生かされいるのか、酵母の分裂期のスピンドル(紡錘体)微小管を例にとって考えてみましょう。既にみたようにスピンドル微小管は染色体(複製された姉妹染色分体)を両側から捕まえて引っ張り、左右に分配するのが役割です。つまり、左右には中心体があって、微小管が束ねられているわけです。


分かり易くするために、全体の左半分だけ見てみましょう。微小管は、左端に位置する中心体と右側の染色体の間に存在していますが、この微小管のどちらが一般的にプラス端でどちらがマイナス端か予想してみてください。ヒントは、プラス端はダイナミックだという性質です。

正解は、右側の染色体サイドがプラス端です。プラス端特有のダイナミクスは、スピンドル微小管が染色体に向かって伸びて行って、染色体の中央部分である動原体を捕まえることに利用されます。微小管を腕に例えるならば、染色体の動原体を捕まえるためには指先をダイナミックに動かしたほうがやり易いでしょう。

微小管のプラス端がにょきにょき伸びていくイメージが沸いてきましたか?

なかには、中心体側こそがダイナミックであるべきだと思ったひともいることでしょう。それも一理あります。中心体側つまりマイナス端はどのようになっているのか、次回はそのあたりから続けてみることにします。

(酵母の中心体は正確にはSPB (spindle pole body)と呼びますがそれはまたいずれ説明するということで、ここでは中心体という言葉で統一します)

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