[Japanese/English]

2010年2月10日水曜日

極性に異常のある変異体の単離


酵母のいいところは遺伝学が使えるところです。
具体的にいうと、もし極性がどんな分子によって作られるのかを知りたかったら、極性に異常のある変異体を単離すればいいのです。もちろん言葉で言うほど実際の実験は簡単ではありませんが、ある意味他の方法では代用がきかないような遺伝学の王道です。また、これまで誰も見たことがない症状を出す変異体を見つけ、それがなんの遺伝子の変異であるのか、なぜそのような症状を出すのかを知ることは宝探しに似たようなワクワクした感覚だと言うひともいます。

極性に異常を示す分裂酵母の変異体はいくつかのグループによって単離されました。極性に異常のある変異体といって具体的にどんな形のものを思い浮かべますか?

あるものは真ん丸の形になってしまい、あるものは細胞がバナナみたいに折れ曲がってしまったもの、またあるいは細胞の真ん中あたりで急に成長する方向を変えてT字型になってしまうものと、その形態は様々です。

真ん丸になった変異体は、どこが細胞の末端かが分からなくなってしまった細胞かもしれません。バナナ型の細胞は、細胞の進むべき方向が何らかの理由で少しずれてしまったのでしょうか。

ここで我々は、細胞の末端がどこであるかを知らせてくれる因子の存在を仮定すれば話がスムーズにいくことに気がつくでしょう。そのような末端の場所を教えてくれる因子のことをエンドマーカーと言います。

すると、正常な細胞(野生型)では細胞の両端にエンドマーカーがあるのに対して、真ん丸の変異体ではエンドマーカーがなくなってしまった、あるいは正しい末端に存在できなくなった(局在できなくなった)細胞かもしれない、となります。

ではそういうエンドマーカーは実在するのか?

次に極性について書くときにはその点について調べていきましょう。

極性に関する話が長らく続いたので、ひとまずこのくらいにして、また話をスピンドル微小管に戻します。

0 件のコメント:

コメントを投稿