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2012年2月23日木曜日

スピンドル微小管が曲がってしまう変異体 3

タンパク質分解に関わるユビキチンリガーゼE3であるSCF複合体。
その構成因子Skp1の変異体ではスピンドルが曲がることが知られていました(Lehmann and Toda, 2004, FEBS Lett. 566:77-82)。


それでは、スピンドルが曲がるという異常な状態はどのようにして作られるのでしょうか?

(1)「 スピンドル微小管の制御異常」説

私が当時最初に思いついたのが、スピンドル微小管の制御に問題が生じたという説でした。
もちろん同じことを考えた人は多いはずです。

例えば、スピンドル微小管をまっすぐ伸長させるためのタンパク質(それが何なのかはおいといて)の活性が異常になり、スピンドルが曲がってしまう可能性。あるいは、スピンドル微小管が異常に安定化されてしまった可能性。

この現象がSkp1の変異体で起きたメカニズムを具体的にイメージすると、本来ならSkp1/SCFの機能によって分解されるべき「ある微小管結合タンパク質」がskp1変異体で分解されなくなったため、過剰に細胞内に存在するそのタンパク質が微小管の異常な制御を引き起こしてしまったと考えられます。

この説は、微小管ダイナミクスの観点からskp1変異体の症状(表現型)を説明しています。少し問題があるのは、微小管がもし単純に安定化されてしまうだけなら、微小管は「野生型よりも長い」とか「野生型より太い」とか、そういう症状が見られてもよかったはずです。

しかし実際に見られたのは、「野生型と違って曲がる」という表現型ですから、分解されなくなったタンパク質が蓄積することで「スピンドルが曲がる」ためには、なにかそういう曲率を生み出すような構造のタンパク質ということになります。少し不自然なところはあります。

次は、スピンドルが細胞内でどのような状態で存在しているか、細胞学的な観点から可能性を考えてみます。

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