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2012年2月3日金曜日

スピンドル微小管が曲がってしまう変異体

久しぶりに微小管の話をしようと思います。最近我々の研究室が出した論文についてです。

本当は、自分たちの微小管研究について書きたいことはあります。しかしまだ論文になっていないことを書くわけにはいかないので、論文を出す機会を待っていました。

そして今回、私が東大生化に来て以来学生が実験を担当したプロジェクトとして最初の微小管に関する論文が出ました。

そのためにはタンパク質分解のことから話す必要があります。

細胞の中ではタンパク質を分解する機構があります。時には不要なタンパク質を分解してアミノ酸に戻し、新しいタンパク質に再利用する役割があります。またある時は、特定のタンパク質を分解することで細胞周期が進行したりと、細胞内の様々な場面でタンパク質分解は重要な役割を担っています。

中でも、分解するべきタンパク質にユビキチンと呼ばれる目印をつけて、プロテアソームと呼ばれる分解酵素複合体によって分解する「ユビキチン・プロテアソーム」のシステムは有名で、ユビキチン化されたタンパク質を分解することで細胞周期か進行したり細胞内の諸現象を引き起こしています。

SCF複合体は、平たく言えば、そのような分解されるべきタンパク質にユビキチン分子をくっつける役割をになってます。

そのSCFの変異体では、真っ直ぐなはずのスピンドル微小管が、なぜか曲がってしまうのです。

タンパク質分解と曲がるスピンドル、当時の私には、この一見するとまったく関連のなさそうな2つの現象をつなぐ謎がとても面白いと感じました。

なぜこのSCF変異体ではスピンドル微小管が曲がってしまうのでしょうか?

その原因としてはいろいろな可能性が考えられるのですが、次回はそこから書きます。

あと、なぜskp1の研究を始めたか、については一通り話が終わってきた最後にまとめることにします。

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