前回、微小管のプロトフィラメントの本数は試験管内だと13-15本でまちまちだが、細胞内で作られる微小管は13本がメインだという話をしました。そしてどうも微小管が中心体から形成されると13本になるという論文の内容でした。
それでは、そもそも間期に細胞質に網目状に存在している微小管は中心体から形成されるのでしょうか。
1984年にはKarsenti, Kirschnerらが繊維芽細胞(fibroblast)から中心体を除去した細胞を調製することで、中心体が間期の微小管構造に与える影響を観察しました(Karsenti, Kobayashi, Mitchison and Kirschner, J. Cell Biol., 98:1763-(1984))。
だいぶ前に書いたように、培養細胞などの間期において、微小管は細胞質に網目状に存在しています。これらの微小管は大部分が中心体に繋がっているように観察されます(リンク先のThe Cellの図を参照)。
Karsenti, Kirschnerらの実験では、細胞から中心体を除去するために、遠心によって核を除去しました。当時おこなわれていた脱核(enucleation)の作業ですが、中心体は核にくっついているため、核を除去すると中心体も一緒に除去されることを利用して、中心体のない細胞を作りました。中心体のみならず、核も除去されるわけですから、実験結果の解釈には注意が必要です。今でこそ、laser ablation(レーザーによる細胞内オルガネラの破壊除去)が可能になってきて、中心体のみを選択的に除去することができますが、それは技術の革新のなせる業です。
さて、中心体を除去すると、微小管構造はどうなるのでしょうか。
次回はここからです。
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