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2011年2月8日火曜日

微小管のプロトフィラメント(protofilament)

ずっと書こうと思っていたことに、微小管のプロトフィラメント構造のことがありました。

なぜ書かなかったのかというと、自分の中でどうしてもまだしっくりこないところがあって、そのもやもやが解消されるまで書けないと感じていたからです。

そんなこんなで数ヶ月書かなかったのですが、今日から書くことにしました。決してもやもやが晴れたわけではないのですが。

さて、ちょうど1年前に、微小管のマイナス端にはガンマ・チューブリン(γ-tubulin)が存在していて、そこから微小管が重合していく、という微小管形成中心(microtubule organizing center; MTOC)としてのγーチューブリン複合体のことを書きました。

MTOCから形成された微小管はダイナミックに重合と脱重合を繰り返すわけですが、その微小管本体はどういう構造になっているのでしょうか。

微小管という細長い管をハサミかナイフかですぱっと切ってみた断面図を上から見ると、大ざっぱに言って、tubulinが13個並んで輪になっている構図に見えます(下の図を参照)。


αーチューブリンとβーチューブリンが交互に1直線に並んだものを1本の「プロトフィラメント」と定義して、「微小管は13本のプロトフィラメントから成る」というように言います。1本のプロトフィラメントを、チューブリンがたくさん連なった細長い「串団子」だとすると、串団子を13本あつめて1本の微小管ができるというイメージです。


ここで不思議なのは、基本的に生体内(細胞内)で形成される微小管はプロトフィラメントの本数が13であることが非常に多い、ということです。これは1970年代から知られていたことです(Tilney et al., J. Cell Biol., 59:267- (1973))。

ところが、生体内ではなく、試験管内でチューブリンの重合を起こすと、必ずしも13とはならないということが1979-1980年にかけて明らかにされてきました。つまり、13, 14, 15本のプロトフィラメントからなる微小管が混在する状況なので、細胞内には、13プロトフィラメントの微小管を選択的に作るような何らかの仕組みがあると考えられてきました。

Tim MitchisonとMarc Kirschnerのグループは、1985年に発表した論文の中で、微小管は中心体から形成されることによってプロトフィラメント13本になるのだ、ということを示しています(J Cell Biol., 100:1185- (1985))。なるほど、これは理にかなっているかもしれない、重要な発見です。

次回に続きます。

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