[Japanese/English]

2010年1月5日火曜日

スピンドル(紡錘体)微小管とは

(1) スピンドルについて
基礎的なところから書きます。

これはいろいろな事情でまだ細かく書くことができないけれども、中心的に研究しているプロジェクトのひとつです。
細胞が分裂することで我々の体は作られるわけで、そう考えると細胞分裂って生命のいちばん基礎中の基礎、原点ですよね。このことを考えると自分でもとても神秘的なムードに満たされます(?)




下の図のように、細胞が左右の2個に分裂する際には、染色体(ゲノムDNA)が左右のふたてに分配されます。もしここで染色体が正確に均等に分けられないと、2個の細胞は遺伝情報に偏りが生じて細胞死や細胞のガン化の原因となるので、何が何でもゲノムDNA(染色体)は2個に均等に分ける必要があります。


染色体分配はこのような非常に厳密な過程なのですが、ここで、スピンドル微小管(日本語では一般的に紡錘体微小管と呼ばれるーーーけど少し堅苦しいのでここではあまり使わないようにします)が染色体を左右に引っ張り分配するという大役を演じているのです。スピンドル微小管は、おおまかにいうと中心体と呼ばれる構造体から伸びてきた繊維状の構造であり、これが染色体DNAの動原体(キネトコア)と呼ばれるところにくっついて、物理的に左右に引っ張るというイメージがわかりやすいでしょう。

ここ10〜20年でこの分野は爆発的に研究がすすみ、この教科書的な染色体分配のメカニズムが詳細にわかったり、あるいは実験結果がイメージしていたこととは違っていたりと、いろいろなことが明らかになりました。そのうちのいくつかは紹介していきたいと思います。

それでわれわれも、分裂酵母という生き物(細胞)を用いて、微小管や微小管に結合するタンパク質の機能を探ることで、このような厳密でかつダイナミックな「スピンドル微小管による染色体分配」がどのように制御されているのか、我々の視点から研究しております。

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