[Japanese/English]

2010年11月17日水曜日

HFSP会議 in インド(3)social program


インドでのHFSP meetingですが、この会議はHFSPから奨学金や研究費を受け取っている人達が参加する会議です。となると、参加者がどのような研究をしているかというのは多岐にわたり、特に微小管とか細胞分裂とかに限ったものではありません。というか、細胞分裂の分野も多くの研究分野の一つですから、実際には同業者はあまりいないともいえます。

そうなると、学会の口頭発表も「自分の知らない分野」のものが必然的に多くなります。それでも、各発表はレベルが高いものばかりで、(自分のことを棚に上げて言うなら)HFSPの受賞者というのはレベルが高いということを実感します。

実際に、大学院で学位(博士号)をとった卒業生達がポスドク研究員として海外留学する際にHFSPの奨学金を獲得するのはとても難しく、狭き門になっています。わたしは当然、HFSP fellowshipなどとは縁がありませんでした。しかし、HFSP奨学金を受けている日本人のポスドク研究員も少なくなく、日本人研究者のレベルの高さと、HFSP事業における日本という国家の貢献度の高さを示しているといえます。今回何人か、海外で研究する日本人ポスドク研究員とお会いましたが、とても良い業績をあげていて、素晴らしいと思いました。

細胞分裂や微小管の研究発表もポスター発表・口頭発表あわせて2,3ありましたが(逆に言うとそれくらいしかない)、それは未発表データによるものですから、ここで言及することはできません。論文として公開される日を待ちたいですね。

このように、分野的にはライフサイエンスというだけで特にそれ以上焦点を絞っていないHFSP meetingですから、必ずしもすべて聞いて理解する必要がないと感じることもあるでしょう。そういう時間は、私は共同研究者と研究打ち合わせをしていました。共同研究者は欧州にいるので、顔を合わせて議論できる機会は年に数回に限られます。今回のインド渡航の目的の一つは、我々自身の今後の方針を決めることでした。有意義な時間が過ごせたと思います。

このHFSP会議のひとつの特色は、社交的な意味合いが強いということです。日本語だとちょっと違和感があるけれども、social programが充実しているということです。

例えば、学会の会期中、HFSPが公式に「インド観光ツアー」をいくつか企画していました。HFSPの意図には以下のような意味合いが含まれていると考えられます。つまり、世界中の異分野の研究者が仲良くなることで、これまで実現しなかったような異分野間研究(学際的研究)ができるのではないか、あるいは知り合いを増やすことで国境を越えたサイエンスの発展に貢献できるのではないか、という意図です。そのためなら、皆でツアーに出かけるだけでも、あるいは立食パーティーだけでも、意義があるということになるかもしれません。写真はある日のディナーの模様です。ホテルのビーチに特設ステージ上が設けられ、インドの伝統舞踊が披露されました。とてもエキゾチックですね。


そんな充実したsocial programのおかげで、国籍を問わず、会期中に新しく知り合いになった人が増えました。研究発表や討論以上に、ランチやディナー、ツアーが充実していたというと怒られるかもしれませんが、実はこの考えかたはとても重要で、英国・欧州ではこれを実感する場面が多かったです。これは欧州と日本の考え方の違いのなかでも、大きなウエイトを占めている気がします。

次回はインド体験について書きます。

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