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2010年11月12日金曜日

インドに行ってきました


先週は学会があってインドに行ってきました。インドに行くのはこれが初めてでした。学会はどうしても欧米で開かれることが多いので、珍しい経験です。最近はアジアでも日本の他に、韓国、中国、シンガポールなどで大小さまざまな学会が頻繁に開かれています。それでもインドは珍しいほうで、実際に学会参加者の大部分の人は今回が初のインド訪問になったみたいです。

今回の学会は、「Human Frontier Science Program (HFSP) Awardee Meeting」です。だいぶ前に書きましたが、私は英国とイタリアの研究者たちと共同研究をしており、それを金銭的にサポートしてくれるのがHuman Frontier Sceince Program (HFSP)です。1987年のベネチアサミットで日本の中曽根康弘首相(当時)が設立を呼びかけて組織された団体で、世界の生命科学研究者が国境を越えて研究すること(ポスドク留学することや、国際共同研究をすること)を支援してくれます。われわれのグループは幸運にもHFSPの援助を受けており、同じようにHFSPから支援されているポスドク研究員や研究者たちが参加する学会が、今回のように年に1回開かれるAwardee Meetingです。

日本からも、数名のHFSP受賞者たちが参加しました。皆初めてのインドです。写真は学会の会場です。



インドのサイエンスですが、あくまでも私のイメージとしては「第2のシンガポール」の立ち位置をを目指しているように思えました。インドの新しい産業として政府主導のもと科学を推進していこうという意志が強く感じられました。政府による潤沢な研究資金を準備し、また海外の研究者をインドに招聘してインドで研究してもらうことで、世界に「科学立国インド」をアピールしていくようです。将来的には、日本人研究者がインドで自分の研究室を持つ、という時代が来るのかもしれません。

欧米で研究しているような研究をインド国内で展開する、というやり方がある一方で、インド特有のサイエンスというものがあります。つまり、インドで伝統的に(あるいは伝説で)薬理効果があるといわれてきた薬品が、本当に効果があるのか、あるとしたら細胞や生物個体に対してどのような作用を起こしているのか、それを研究することです。今回の学会では、インド国内の研究者がそれらについて研究した結果を報告する発表もありました。こういうオリジナリティーは大事ですね。

偶然にも、先月COP10が名古屋で開催されました。ひとつの論点は、途上国から採取されたり、途上国で伝統的に使われてきた材料資源が、先進国に搾取されて途上国に相応の対価が支払われていないという問題でした。インドの伝統医薬などは、是非インド国内の研究者がその効果を明らかにしつつ、インドの研究が発展していけばよいのだと思います。

次回はインド体験記?を書きたいと思います。

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