さて、中心体側には微小管のマイナス端が位置するという話をしました。細胞内のスピンドル微小管(紡錘体微小管)において、マイナス端は実際にはどのようになっているのでしょうか?
前々回の図にも書いたように、マイナス端にはγーチューブリン複合体と呼ばれるタンパク質群がキャップ状にくっついています。これは、本来微小管が重合されるときに、重合起点として働くものです。これを微小管形成中心(MTOC; microtubule-organizing center)といいます。
つまり、微小管はγーチューブリン複合体から重合していくことになります。そのため、γーチューブリン複合体はマイナス端側に存在し、一旦微小管を重合させたあとは、さらなる重合や脱重合が起きないようにして微小管マイナス端としてのダイナミクスをさらに抑えます。
これらをふまえて、酵母のスピンドル微小管がどのように形成されていくのかをみてみましょう。
隣り合った2個の中心体のそれぞれには、γーチューブリン複合体が存在しています。そのため、中心体を微小管形成中心(MTOC)として、スピンドル微小管が形成され始めます。そして、形成され始めた微小管のマイナス端は、そのままγーチューブリン複合体によってキャップされ、中心体に束ねられています。
ここまでで、図のように微小管が2個の中心体からヒゲのように核内に向かって伸びていく様子が分かっていただけたでしょうか?
この状態からどうやってスピンドル微小管に育っていくのか、まだまだ先は長いといったところでしょうか。
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