[Japanese/English]

2011年7月8日金曜日

International Fission Yeast Meeting

今回は、先週開催された第6回国際分裂酵母学会(international fission yeast meeting)について書きます。

二年前のこの学会は東京で開催しました(われらが山本正幸教授と渡邊嘉典教授による主催)。そのとき、次回はボストンで開催されることが発表されたのですが、ボストンと聞いても正直あまりときめきませんでした。私にとって英国は第二の故郷ですが、米国はあまり自分と縁がなかったので。。

しかし6年ぶりに米国東海岸に行ってみると、とても落ち着いたいいところばかりで、研究するのに適しているという印象を受けました。特にワシントンD.C.とかボストンは都会なのに落ち着いた雰囲気を持っており、好感が持てました。プロビデンスもとても素敵でした。

さてそんなとても良い場所で開催された分裂酵母学会ですが、世界中の分裂酵母研究者が集まり、様々な分野の研究発表がおこなわれました。分裂酵母は優れたモデル生物であり、これを使って研究する分野は、細胞周期、微小管やアクチンなどの細胞骨格、核や細胞内小器官、染色体の構造・複製・分配・組み換え、RNAとたんぱく質の制御、シグナル伝達、オミックスとシステム生物学、などなど多岐にわたります。

これらの分野の研究の発表が朝9時から夜10時過ぎまで、口頭発表とポスター発表でぶっとおしで6日間おこなわれました。これは実にヘビーです。

自分の関係する分野でいえば、今回は特に、細胞骨格の細胞極性に関する研究発表がさかんにおこなわれました。フランスのSophie Martinのグループは特に優れた業績を出していると感じました。とても優秀な研究者ですね。わたしが彼女たちの研究が好きな理由は、とかく細かく小難しくなりがちな細胞極性の分野において、彼女らは常に誰にとってもわかりやすいシンプルでかつ重要な研究成果とメッセージを出しているからです。

以前、プレゼンテーションは分かりやすさが大切だという話をしたことがありますが、彼女のプレゼンは実に明解で分かりやすい。研究内容自体もシンプルなのに重要なもの。偉そうな言い方ですが、彼女はとても頭がいいのだと思います。尊敬してます。

あと私がロンドンでポスドクをしていた時代からお世話になっているJonathan Millarもとても良かったです。実は私は彼のプレゼンのときの英語が好きだったりします。ああいう英語でプレゼンするのが私の理想です。

2011年7月7日木曜日

海外学会といえば

先日ボストンで開催された第6回 国際分裂酵母学会についての続きです。

分野が多岐にわたる学会では、あまり自分に関係がない分野の発表のときは発表を聞いても分からないから、会場から出てしまいます。私はあまり発表をじっとして聞いているのが好きではないみたいです。あまりにも長丁場ですし。そこで、同じ理由で外に出てきた同業者、特に何人かの共同研究者と長く議論するのが学会でよくあります。実は私はこれが楽しくて学会に参加してます。

今回も、HFSP共同研究をしているAttilaや、同じく細胞極性を研究している他の研究者とかなり深い話ができました。また、スピンドル極体の共同研究者とも最新のデータをまじえて議論、意見交換しました。

その他にも、これまで知らなかった多くの方々と知り合いになりました。夜遅くまで発表があったにも関わらず、さらにそのあとに同業者(いわば朋友または戦友です)と毎晩バーに飲みに行き深夜まで飲みながら語りました。世界中の研究者と知り合いになれるソーシャルなところが、学会の楽しいところです。

ここで若い学生さんのためにアドバイスです。中にはそういう外国人とのソーシャルイベントが苦手な人もいるでしょう。でも大丈夫。私も大学院生の頃は苦手でしたが、最近それがすごく楽しみになりました。

こういう場面では、日本人にとって「英語が話せない」ということが最大の問題になるケースが多いです。

英語は大切です。これは英語嫌いな私でも認めざるを得ない絶対事項です。高校生や大学生は、英語の成績が必ずしも優秀でなくてもいいですが、できればきちんと学習しておくとよいです。私は大学院生のころは全然話せず、だいぶ苦労しました。

英語力は、極論すればアウェーゲームで発揮できるものでないと意味がないです。自分の経験から例えて言うなら、日本にやってきた外国人1人と日本で話すのは実は簡単で、英語力はほとんど必要ありません。ホームゲームだからです。周囲の日本人たちの英語に合わせようとアウェーを感じているのは外国人のほうで、そっちのほうが大変です。

自分の経験でいえば、自分が海外に行って、アメリカ人(イギリス人)10人+日本人は自分1人、という状況のなかで自分の会話ができるかどうかが英語力の問われるところです。

相手達は、誰もが英語を話すのが当然の環境の中で、容赦なく完全なるネイティブイングリッシュを浴びせてきます。単語も熟語も俗語も話すスピードも手加減ありません。日本人である自分が何も言わなくてもアメリカ人10人の間で会話が進むので、自分は一言も発しない、わらってごまかすというのが典型的な日本人、大学院生の頃の自分です。

アウェーでこそ問われる英語力、それを身につけることが望ましいですが、私もまだまだ学習途上です。

2011年7月4日月曜日

アメリカ東海岸で研究すること

今回はワシントンDC、プロビデンス、ニューヨークといった米国東海岸の日本人ポスドク研究者3人に会い、アメリカでの研究の様子を聞いてきました。

3人とも非常に優秀なポスドク研究者で、お会いしてはなしをうかがっただけでも、彼らの研究者としての意識の高さが伝わってきました。

3人とも違う場所、環境で研究しているので、意見はさまざまでした。お話を伺ってはじめて、米国にもいろいろな研究スタイル、研究者の生き方があるのだなぁ、と実感しました。

私はこれまで、米国の研究はとても競争的で研究所の人の異動が多い慌ただしい世界で、内容も臨床医学に結びつく生物学という、どの意味でも世知辛いステレオタイプのイメージをもってました。

しかし、実際にはそういうところも、そうでないところもあるという話を、そのそれぞれで働く研究者から直接聞いたことで、私のアメリカ東海岸のイメージはかなり変わりました。
あまり詳しく書くと各人に差し障りがあるといけませんからこの程度の書き方で勘弁してください。

誰しも行ったことのない所はちょっと敷居が高いものです。実際に訪問して話を聞けば、自分がそこで研究する具体的なイメージができると思います。

海外で研究してみたいけど自分には無理なのでは?と思っている大学院生は、何をモラトリアムなことを言っているのだ、無鉄砲に飛び込んでしまえ、と言いたいです。そしてこれは自分の独立ポジション探しにも言えることです。米国東海岸も考えてみることにしました。

2011年7月1日金曜日

ロードアイランド州プロビデンス

今、アメリカ合衆国、ロードアイランド州プロビデンスに来ています。

久しぶりに更新していきなり何をという感じですが、多忙にならざるを得ない日本を離れると、少し時間と気持ちの余裕ができたので、更新することにしました。

ではなぜアメリカなのかというと、今日の昼まで、アメリカのボストンで、分裂酵母の国際学会が開かれており、それに参加していたからです。

6月25日から30日までの会期が終わり、マサチューセッツ州ボストンからアメリカ版新幹線Amtrak Acela expressに乗り、次にロードアイランド州プロビデンスで下車しました。

プロビデンス(Providence)ってとてもいい地名ですよね。とても素敵です。
でも名前負けしないような、とても素敵な街でした。
今はまだ電車の中で写真を載せることができないのが残念ですが、歴史との調和がとれており、自然に恵まれ緑が美しく、とてもきれいな町並みとなっておりました。

プロビデンスで下車したのは、この地にあるアイビーリーグの名門大学であるブラウン大学で研究する日本人のポスドク研究者にお会いしたかったからです。実名は許可とってないので差し控えます。イニシャルトークもやめときます。

今電車のなかでこれを書いているのですが、電車がそろそろニューヨークに着きます。
それではまた