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2010年8月30日月曜日

二重らせん構造の落とし穴


EMBLを訪ねるのは今回が初めてではなく、前回の訪問から2年経っていないのですが、今回は微小管学会が開催されたのは初めてであるということ、それから学会の会場が新しく作られたATCトレーニングセンターと呼ばれる、鳴り物入りで建てられた建物でおこなわれるというのが今回初めてのことです。

なぜ鳴り物入りか、、、それはドイツの技術とデザイン性の粋を集めて建てられた(?)DNA二重らせん形の展示場のためです。バチカン美術館みたいです。名前がATC (advanced training centre)なので、こじつけで名前にGermanyとかを入れれば、ATCGとかになり、よりDNAっぽくなると思うのですが。
外観は、特に敢えてDNAの二重らせんを想起させるものではない、というよりも車の立体駐車場のイメージです。
しかし内部は、建物の壁に沿ってらせん状に廊下が巻いてあり、それが通常の建物の1階から8,9階相当?のところまでずっと続いていく奇抜な建築です。通常の、と言ったのは、この建物はいわゆる「階」という概念がなく、緩やかな坂であるらせんに沿って小さな部屋がずっと並んでいるからです。
とてもアーティスティック、すばらしいでしょう! このらせん状の廊下にポスターを貼り、研究発表するわけです。上の写真(の右上端)をよく見ると、確かにポスター板とそれを眺めている人達が見えますね。

通常ポスター発表は、だだっ広い展示場か会議室か、そんなところでやります。多くの人数を半分に分けて、半分ずつおこなっていくものです。例えば100人がポスター発表する場合、ポスター番号が偶数の50人は第1日に発表、奇数の50人は第2日、という具合にして、ひとつの部屋を一日交替で使うことになります。

しかし、このEMBLのATCの場合、奇数組と偶数組で、ポスターを貼る「廊下が違う」のです。

廊下が違うといって、なんのことか分かっていただけるでしょうか。うまく説明できませんが、DNAは二重らせんなので、らせん状の廊下は実は2本あるのです。つまり、写真で見られる隣り合う上下の廊下は別の廊下であり(ワトソン坂とクリック坂とでも呼べばいいのか?)、もともと1階ではそれぞれ別の入り口から登っていくことになります。
このままだと、もしワトソン坂の上のほうからクリック坂の上のほうに移動したいと思っても、一度1階に降りてからまた登ることになり、極めて理不尽な構造になります。

そこで、ところどころ、ワトソン坂とクリック坂がATやCGの塩基対のように繋がっていて、2つの坂を結ぶ「連絡通路」になっているわけです。これで問題解決です。
ところが、これは高所恐怖症の人には受け入れられない構造です。

実際、もしこれがイギリスなら、いつか崩落するぞって人々がささやく悪口が聞こえてくるでしょう。

EMBLはドイツですから建築技術は信じよう、でも鉄道大国スイスでも列車事故は起きるということを付け加えておこう。いや崩落する可能性があるかどうかにかかわらず、高いところは怖いって。床が半透明の曇りガラスなのがまたイヤなムードをかき立てます。無色透明ならもうそれは拷問でしかないですが。

この連絡通路が完成したとき、建築業者の人達が大勢この連絡通路に立ち、自らその安全性を立証してアピールしたそうです。それで崩落したら大惨事ですが。これはいわゆる、イナバ物置スタイルの立証、あるいは菅直人氏、カイワレ大根を食すといったところです。そういえば、この微小管学会の旅行中に首相が鳩山氏から菅氏に変わりました。また変わるのでしょうか?

というわけで、この建物、ポスター発表のしにくさでは群を抜いてすごい、実に不評な建物でした。でも「こういう建物を建てようと最初は半分冗談で言ってたけど、本気になってほんとに建ててしまう、で実際建ててみたら問題もあることが分かったけど、でも面白いよね。」というムードこそが欧州の雰囲気、欧州の懐の深さです。欧州のサイエンスは表面上それほどガツガツしていないのに、仕事の中身は奥が深いっていうのは、こういうことろに由来するのかもしれません。

最大の問題点は、事実上トイレが地下にしかない点です。これはいただけなかった。


2010年8月27日金曜日

6月はドイツEMBLでの微小管学会

細胞生物学会から一週間ちょっとで今度はドイツです。

6月に入ってすぐ、ドイツのハイデルベルクHeidelbergで開かれた微小管学会に参加してきました。5月の頭にはイタリアにいたわけですから、時差ボケもまだ治らないうちにすぐまた欧州です。


場所は、主催者であるEMBL (European Molecular Biology Laboratory:欧州分子生物学研究所)という研究所の本部があるところです。

EMBLは山の中にある。
このまえのトレントの研究所がそうだったように、研究所が山の上にあることはそう珍しいことではないですね。よく言われるのは、こういう人里離れた(そこまで離れていないが)場所で研究をすると集中できる、という説です。
わたしも欧州でポスドク生活をしていたときに、この説に妙に納得してしまいました。ちなみに私がポスドク研究員として働いた研究所はロンドンの中心地の一角にありますが、研究に集中できないということはありません、念のため(笑)。

この山の中というロケーションのおかげかどうかは分かりませんが、EMBLは分子生物学の分野、特に細胞生物学分野において、世界トップクラスのレベルと最先端の技術を誇っています。ドイツというと自動車(フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツ、BMWなど)などに代表される科学・技術立国のイメージがありますが、そのイメージは細胞生物学にも当てはめることができます。

最近は特に日本人のサッカー選手もドイツのブンデスリーガでプレーする人が多くなってきましたが、日本人とドイツ人は、根がまじめで勤勉家だという点で性格が似ていると言われます。EMBLにも多くの日本人ポスドク研究員がいます。スポーツでも科学・技術でも、日本人が活躍しやすい欧州の国だと言えるでしょう。多くの日本人、特に高校生にとってはドイツ語はほとんどなじみがないと思いますが、とりあえず英語からスタートすればいいと思います。EMBLの研究所では英語が公用語ですので、その点は心配要りません。大学1,2年(教養部)のときに第二外国語でドイツ語を選択するのも手ですね。

続く

2010年8月25日水曜日

大阪の日本細胞生物学会(2010年5月)

さて、イタリア訪問が5月のゴールデンウィークだったのですが、下旬には大阪での細胞生物学会に参加してきました。

わたしは大学院生の頃から日本分子生物学会には参加していたのですが、当時は細胞生物の分野の研究をしていなかったし、その後は海外で研究していたので、当時は縁がない学会でした。

そして日本に帰国した後、2年前から私はこの学会に参加するようになりました。学習院大学の馬渕一誠先生から是非入会してみてはどうかとアドバイスをいただき、それを機に参加するようになりました。


馬渕先生に誘われるがままに参加した日本細胞生物学会ですが、今はすごく気に入ってしまいました。

個人的に思う良い点は、

(1)参加者は皆、細胞生物学が好きである
(2)細胞生物学にフォーカスしており、発表の質が高い
(3)全体の参加者人数が多くないが、皆スペシャリストなので濃く深い議論ができる

というところですね。参加人数が多くはないので、学会運営上で大変なことも多いかもしれませんが、会場で研究者同士がコミュニケーションとりやすい、絶妙な良い距離感を生み出していると思います。新参者の私としては、日本細胞生物学会を大いに楽しんでおり、運営して下さる方々に感謝したいです。大学院生の方々も細胞生物の分野に関わるのであれば、是非この質の高い学会に参加してみるとよいのではないか、と思います。

来年は2011年6月27-29日、北海道大学で開催されます。
まだまだ先の話ですが、楽しみです。

2010年8月24日火曜日

パドヴァとヴェローナ



5月のHFSP共同研究会議 in イタリア、次に訪問したパドヴァについてです。

イタリアのトレントで会議を終えた後、往路の逆をたどるかたちで帰国するのですが、飛行機の空き時間が生じており、空き時間を利用してパドヴァPadovaとヴェローナVeronaを見てきました。目的は、世界遺産めぐりです。両都市のあいだにあるヴィチェンツァVicenzaのという街のパッラーディオ様式の建築も世界遺産登録されているのですが、残念ながら時間の都合で今回は立ち寄れませんでした。

トレントからヴェローナに着き、そこでヴェネツィア行きの電車に乗り換えます。個人的にはイタリアの鉄道というと、南イタリア、特にシチリアのレトロなローカル線のイメージと、極めて評判の悪い運行状況を思い出しますが、近年はIC(インテルシティ)などで新車両が目立ちます。それにさすが北イタリア、運行の遅れも5〜15分程度しかありません。パドヴァまで快適な旅でした。

パドヴァといっても日本人にはあまりなじみがないと思います。私も全然知りませんでした。
さて、観光するときにパドヴァで必見なのはスクロヴェーニ礼拝堂で、イエスの生涯がフレスコ画の壁画になっています。

ここは事前予約するか、当日訪問して整理券をもらい、その整理券に書いてある時間に集まって、ある決まった人数の団体として礼拝堂の中を見学するスタイルです。ミラノの「最後の晩餐」と同じスタイルです。私は当然事前予約しておらず、朝11時に現地で整理券を受けとったところ、記載された実際の見学時刻は13時30分でした。これなら悪くないですね。この空き時間を利用して、パドヴァの街を散策です。

パドヴァは、非常に古くからある大学都市です。パドヴァ大学はガリレオも教鞭を執ったことがある、とても有名な大学です。


土曜日だったので街はマーケットが出て、お買い物客や観光客でとても賑やかです。パドヴァは古くからある小さな街なので、賑やかな雰囲気は観光客向けに飾り付けられたものではなく、その地元の雰囲気をそのまま反映しています。英語はもちろん話さない地元のパスタ総菜店で買い物したり、ちょうど母の日の直前だったのでプレゼントに贈るお菓子とかも豊富に置いてありました。子供のおもちゃを探したり、市場できれいな食器を買ったり、そんな地元の雰囲気に浸れるのがこういう小都市のいいところです。


市内を徒歩で一周して、一番の目的だった、世界遺産に登録されているパドヴァの植物園を見ようと思ったのですが、さっきのスクロヴェーニ礼拝堂の集合時刻が近づいてしまい、植物園は断念しました。ここはヴィチェンツァとあわせて次の機会に訪問することにしました。礼拝堂は、ガイドの説明がイタリア語なので、イタリア人観光客が、イタリア人ガイドの言葉のどのタイミングで反応してどこを見るか、どういうリアクション取るかなど、人間観察に興じてしまいました。言葉は分からなくても、なんとなく雰囲気が分かるから不思議です。実際の礼拝堂の絵画の説明は、日本語ガイドブックに頼らざるを得ませんね。

そうしてパドヴァ散策を終え、電車でヴェローナに戻りました。
(次はイタリア編最終回のヴェローナです)

2010年8月20日金曜日

東大理学部で考える女子中高生の未来

お知らせです。

東大理学部からの広告を転載します。
まだ申し込みに間に合うといいですが。



東大理学部で考える女子中高生の未来

女子中高校生の皆さん、保護者の皆様、東大理学部で女性研究者による最先端の研究の話を聞き、研究室で気軽にお話ししてみませんか? 大学生活のこと、研究のこと、皆さんの質問になんでもお答えします! ぜひご参加ください。

【日時】2010年9月26日(日) 13:00-17:00(12:30開場)
【会場】東京大学本郷キャンパス 理学部1号館2階 小柴ホール
【対象】女子中高校生30名・保護者の方20名 参加費無料
【申込】2010年7月20日(火)より先着順にて受付開始
【申込方法】申込につきましては、こちらのURLをご覧ください。その他、注意事項を掲載しておりますので、ご確認の上、お申込を行ってください。

【主催】東京大学大学院理学系研究科・理学部 男女共同参画委員会・広報委員会

2010年8月18日水曜日

トレントでの遠足

イタリアのトレントで5月におこなった共同研究者との会合。

Rafael, Attilaの各ラボメンバーと遠足に行きました。
行き先はトレント郊外のワイナリー(ワイン工場)とガルダ湖(Lago di Garda)です。この地方は北イタリア屈指の湖水リゾート地で、そりゃもう景色が美しいわけです。ワイナリーではワインテイスティング(7,8種類)しかも各銘柄を1−2杯ぶんくらいは飲めるということで、とても楽しいひとときを過ごしました。

おみやげには地元のワインと、あとテイスティングで飲んだスパークリングワインがとてもおいしかったのでそれを買いました。

写真はワイナリー、写真前方の中央には共同研究者のRafael(英国ケンブリッジ大学ガードン研究所)です。私とRafaelは写真撮りまくってました。顕微鏡好きは写真を撮るのが好きなんだ、と思います(?)。

ワインと皿いっぱいに出されたチーズ、ハムを食いながら(テイスティングというよりは完全に軽食ですね、さすがイタリア)酵母の極性成長について語る、、、ことはありませんでした。何を話したか忘れてしまいましたが、各国の死刑制度の有無について話したことだけは覚えています。全然関係ないですけど。

その後、下の写真のガルダ湖です。ここは本当に湖水リゾートでして、皆が言うには、トレントの北方に位置するオーストリアと、イタリアの双方の文化のいいところがうまく融合した美しい地域だとのことです。




ここで巨大なアイスクリーム・パフェを皆(ひとり一個)食べて、夕方には研究所に戻り、そこでまた会議です。これだけ遊んだ後でも皆気持ちはすぐに切り替わり、会議はかなり白熱して、夜遅くまで議論しました。これはどの日もそうで、ある日には夜1時まで飲み食いしながら今後の展望、課題など話し合いました。こういうことをやってもストレスなく楽しくいられるのが欧州なんですよね。時差がある私にはその意味できつかったですけど。

そして、次回のHuman Frontier共同研究者ミーティングは、今年の11月に、東京でおこなうことになりました。今度は訪問する側ではなくて、皆を呼ぶ側です。外国人のお客様(10人程度の団体)をどこに連れて行けばいいだろうか、考えているところです。そこでまたみっちりと会議したあとは、土曜か日曜に出かける遠足を企画中です。彼らの東京のイメージは、やはり秋葉原という意見が目立ちました。ということで、風光明媚なイタリア湖水地方ツアーの次は、東京で秋葉原ツアーというのも、Human Frontier Science Program国際共同研究ならではのコミュニケーション方法ですね。

全然微小管と関係ないですが、もう1,2回ほどイタリアの旅行記?を書いて、順番でいくと次は5月下旬の大阪の細胞生物学会のことを書きます。

2010年8月17日火曜日

イタリア・トレント大学

お盆休みをとってました。暑いですね。


さて、イタリアのトレント大学です。
私の印象では、トレントは学生の街だと思ったくらい、学生の大群が駅から出てきてバスに向かう風景がみられました。意外とこの光景はイタリアで見たことがなかったので、とても新鮮でした。

トレントの町は歩いて回れるほどの小さな町なので、大学もそんなに遠くないかな、と思っていたのですが、実際わたしが訪れたトレント大学の研究所は町から外れた郊外にありました。距離的にはそんなに遠くないのですが、研究所は山の上にあるので、車で向かってもくねくねと山道をのぼっていく必要があります。

着いたところは、すっかり小高い山の中腹。こんな山の上に研究所があったなんて、、、。
(実際には山の上にある研究所は数多く存在します)
周囲の景色や山岳風景はすばらしいものでした。ある意味辺鄙なところですけれども、こういうところで研究すると、いいアイデアが浮かんだりするのかな、という気がしました。


写真が、The Microsoft Research - University of Trento, Centre for Computational and Systems Biology (CoSBi) です(トレント大学 マイクロソフト・コンピューターシステム生物学研究所とでも訳せばいい?)。さすがイタリア。まるでThermeの建物か?というムードでしょう。Thermeといってもピンと来ないかもしれませんが、平たく言えば欧州の温泉(スパ)施設です。まわりの美しい景色にとてもなじんでいて、やっぱり、「さすがイタリア」。研究所がこういう外観なのっていいですよね。中はまだ真新しく、機能的な研究所です。Centre for Computational and Systems Biologyということですから、生物を飼育して実験するような(いわゆるウエットな)研究施設ではなく、計算機による生物現象のモデリングとシステム解析をおこなう(いわゆるドライな)研究所です。オフィスのように整然と、だがきわめてイタリアン・スタイルで優雅にまとめられていました。美的にとても秀逸です。

これが研究所の窓から見える風景。いいでしょう? 同じ欧州の「山の上」にある研究所EMBL(ドイツ)のように、山の上にぽつんと研究所が一つあるだけなのとは違って、周囲にはリストランテ、ピッツェリア、民家など、結構あります。これは大学があるから当然といえば当然かもしれませんが。共同研究者Attilaの研究室がこちらにあります。

肝心の会議ですが、今回もきわめて高度な「概念的」なdiscussionをおこないました。概念的な議論ってどんなのか、それを例を出して説明するのは難しいのですが、日本の研究室でよくある議論が「現実的」な実験方法や実験計画について議論し、実験結果の善し悪しについて議論するのに対して、欧州では哲学的な部分から入っていくことが多いです。まず「我々が明らかにするべき興味はどこにあり、生命システムはどのようになっているのか?」についてさんざん語り合い、それが煮詰まったところで、じゃあ具体的にはどうやって実験すればいいんだ?というところで終わるようなやり方です。あまりうまく説明できてませんし、あくまでも一例ですが、雰囲気が伝わればと思います。今回の共同研究会議には、UCL (University College London)のJürg Bähler博士にもアドバイザーとして参加していただき、意見をいただきました。食事などして、いろいろ意見交換をするのも醍醐味です。私があんまり英語を理解していないのが情けないですが、昼飯にでっかいピザを食べながら、日英の大学システムについて意見をかわしました。

2010年8月9日月曜日

Trentoは近いような遠いような

5月にイタリアのトレントでHFSPの共同研究者とミーティングをしたことについて。

以前書いたように、現地にたどり着くまでにだいぶ時間がかかった、というのが第一印象でした。

もちろん日本からトレント近辺まで直行便は飛んでいません。最初私が思いついた方法は、比較的近場のミラノまで直行便で行き、そこからトレントまで電車で行く方法。これは悪くないと思ったが、成田ーミラノ便は毎日飛んでいるわけではなく、私が飛びたかった日には飛んでいなかったので、あっけなくこの方法はボツになりました。

というわけで、ドイツのフランクフルト空港までルフトハンザ・ドイツ航空で行き、そこで飛行機を乗り換えて、トレントに一番近い国際空港であるヴェローナ空港に到達するという方法にしました。

過去に乗り換えには痛い目に遭っているので(昨年チューリッヒでのHFSP共同研究者ミーティングでは、成田からロンドンに向かう飛行機が遅れたため、ロンドン・ヒースロー空港でチューリッヒ行きの便に乗り遅れた)、今回はたっぷり時間に余裕のある乗り換えプランを採りました。

乗り換えの待ち時間は4時間もあるので、さすがにこれで乗り遅れることはないはずです。しかも、フランクフルトには定時に到着。余裕で間に合い、空港の待合ロビーで、ずっとネットを使って仕事して時間を費やしました。

しかし、定時になっても搭乗のアナウンスはありません。現地ヴェローナの天候不良により、フランクフルトを出発できないとのころ。結局飛行機に乗れたのはさらに2時間後でした。フライトキャンセルに比べればまだましですが、実際のところ空港で6時間という半端な時間を待たされるのは疲れました。いかに現地ヴェローナが天候不良とは言え、ここフランクフルトは快晴なんだから、とりあえず飛べばいいのに。

この時点で、日本の家を出てから20時間になるわけです。さて、地元航空会社エア・ドロミーティの飛行機です。イタリアの、しかも小さな航空会社なんて信頼できるのか?という自問自答を何百回もして疲れた後だったので、おとなしく乗ることができました。しかしこの航空会社、すごく良かったです。外装・内装・乗務員の制服とも、イメージカラーの緑でキレイにまとめられてました。大手の、たとえばブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の地方行きの便にはイヤというほど乗りましたが、BAよりもずっとシンプルでクリーンな機内・サービスでした。



ドロミーティ(ドロミテ)地方は、2009年に世界遺産に登録されたばかりの北イタリア、ヴェネチア北部にひろがる森林地帯、景勝地です。昨年登録されたとき、ここに行ってみたいが、なかなか行く機会がないだろうと思っていたのですが、こんなに早く、しかもドロミーティの名のつく飛行機で現地入りするとは。問題は、悪天候のため、ヴェローナ近郊で飛行機が揺れに揺れて、気分があまり良くなかったこと。航空会社のせいではないが。

ヴェローナはトレントに行くにはとても便利なんだけれども、ヴェローナ空港には鉄道が乗り入れてなくて、FSヴェローナ駅までバスまたはタクシーに乗らなければ行けないのが難点です。日本の家を出て既に22時間、現地の夜9時頃の真っ暗な中なんで、かなり限界を感じましたが、それでも4年ぶりのイタリアなので空港なり駅なりの雰囲気を感じ取って楽しもうとしました。

ヴェローナ駅では夕食として駅のスタンドでピザを食べる。駅のスタンドのファーストフードとは言え、さすがイタリアです。一人旅のイタリアの電車内で寝るなんて危機管理上あり得ない、というのは正論ですが、眠いものには逆らえない。ひとつだけ言えるのは、寝過ごさなくて良かったということ。

トレントでのホテルは、トレント大学で研究しているAttilaがとってくれたのですが、これが駅から近かったのが唯一の救い。かなりローカルな駅なのか、タクシーなど待機していない。現地時間の夜おそく、ガイドブックの地図を頼りに、雨の中ホテルまで徒歩。かなり疲れてストレスもたまりました。

朝起きてみたら、トレントの町はあまりにも美しく、それまでの不満が吹き飛ぶようでした。

トレントの駅です。朝は学生や通勤客でかなり賑わってました。こんな山のなかにあったんですね。昨晩は真っ暗闇で気づきませんでした。

そして、翌朝、共同研究者たちとの再会です。

2010年8月6日金曜日

5月から7月までのこと

この3ヶ月間にあったことを今更ながらに少しずつ振り返ってまとめておきます。

5月はイタリアのTrentoに行って共同研究者と会合してきました。
何回かこのブログでも書いたのですが、イタリアのトレントは本当にきれいなところでした。
まずはこのときの話を少しずつ振り返って書き込んでいくことにします。
トレントでの会議のあと、空き時間を利用して、近隣のヴェローナ、パドヴァも見てきました。
ともにとてもいい所でした。またその近くにはヴェネチアもあるのですが、今回はそこまで時間が無かったので行きませんでした。ヴェネチアは6年前(月日が経つのは早いものです)に行きましたが、世界に二つとないようなユニークな都市です。まだ訪れたことのないかたには是非オススメしたい観光地です。
というわけで、4年ぶりのイタリアを堪能したゴールデンウイークでした。

さらに5月下旬、これも前に宣伝したことですが、細胞生物学会に参加するため大阪に行ってきました。
こちらは9年ぶりの大阪でしたが、実のところ通天閣を初めて見たりと、ほぼ大阪初心者でした。
また後日書きますが、この学会は細胞生物学の濃い学会で、私はすごく好きです。
分子生物学会は博覧会のような大きな規模が時として不利に作用します。細胞生物学会は規模が小さいけれども、参加者は本当に細胞生物学が好きなのだなあ、ということが実感できるので、こちらまで嬉しくなります。

6月1日からは、ドイツのハイデルベルクに微小管学会に参加してきました。
私もまだまだ微小管のことは知らないことだらけなので、参加して一から勉強してきました。
そこで聞いた話の中では、ガンマチューブリンの話がとても印象に残りましたが、これは近頃natureに掲載されました。
その後古巣のロンドンに立ち寄りました。

7月は北九州市に行ってきました。これまたとてもいい所でした。

こういった話をこれから少し書いていこうと思います。
なんだか旅行記みたいです。

2010年8月4日水曜日

東大オープンキャンパスは盛況ですね

本日は東京大学のオープンキャンパスです。

自分の所属する理学部・生物化学科のコーナーを見てきました。


来場者の高校生(と中学生)の熱意は本当にすごいですね。
説明をする大学院生も得るものが大きいことでしょう。

2010年8月3日火曜日

東大オープンキャンパスは明日です

明日、8月4日は東京大学のオープンキャンパスです。

http://www.u-tokyo.ac.jp/event/opencampus2010/index_j.html

私が所属している理学部もオープンキャンパスで皆様のご来場をお待ちしております。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/event/open-campus/2010/

特に、高校生や駒場生のかたが対象みたいですが、その他の一般の方も大歓迎です。

東大のオープンキャンパスは基本的には事前登録制なのですが、今たまたまこれを見て知ったあなたも、理学部のオープンキャンパスなら事前の申し込みは不要です。もちろん無料ですから、是非来てみてください。

理学部では各学科ごとにブースが分かれています。私が所属している理学部生物化学科のコーナーもあります。各研究室の研究内容を、学生のかたがたが紹介していきます。

研究内容のこと、大学生活のこと、受験のお悩み相談、なんでもOKです。私も過去にオープンキャンパス委員をやりましたが、受験相談を受けました。。

夏休みということで再開

いろいろあって更新できない日々が続きましたが、高校生大学生が夏休みに入ったということで再開しようかと思います。

微小管ブログ、どうかよろしくお願い致します。

と同時に、ご意見、ご感想、ご要望、ご批判などございましたら、右に書いてある連絡先までメールを送って下さいませ。ブログ内でお名前公表とかしませんからご安心下さい。匿名でも全然問題ありません。

当ブログは基本的には、まだ研究とか考えたことがないような高校生から、そろそろ進路を決めなればならない大学の教養学部生、そのあたりの若い学生さんに読んでいただけるといいのではないか、、と思っています。私自身に専門的知識がないので(苦笑)、大学院生や研究員の方々には物足りないかとおもいますが、どうか本ブログの趣旨をご理解いただけたらありがたく思います。

とりあえず、近況報告や今後の予定などから書いて、次第に微小管の話にシフトしていこうかと思います。